【最恐の没入体験】【その部屋を開けてはいけない】映画『コンジアム』疑問点と考察

 

2019年3月23日に公開された韓国映画『コンジアムを視聴したので、疑問点と考察をまとめていきます。

コンジアム(字幕版)

実在するCNNが選ぶ”世界7大禁断の地”の1つである「昆池岩(コンジアム)精神病院」は韓国最恐の心霊スポットとも言われています。配信型ホラーなので視点 or 固定カメラで展開していき、非常にリアリティがあります。深夜に見てしまったのを後悔しています…。

韓国ホラー映画で歴代2位(2024年1月現在)の観客動員数を記録しているヒット作です。「第55回大鐘賞 2018 編集賞」、「第39回青龍映画賞 2018 編集賞を受賞、さらに「第39回青龍映画賞 2018 新人男優賞・新人女優賞」にノミネートと、高く評価されています。

※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含むため、視聴後の閲覧を強くオススメします。

作品紹介(公式HPより)

ストーリー

Youtube恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」が一般からの参加者を募り、コンジアム精神病院への潜入を計画する。

主宰者ハジュンを隊長とする7人の男女は、いくつものカメラやドローン、電磁検出器といった機材を現地に持ち込み、深夜0時に検索を開始。

100万ページビューを目標に掲げるハジュンの演出も功を奏し、サイトへのアクセス数は順調に伸びていく。

しかし院長室、シャワー室と浴室、実験室、集団治療室を探索するうちに、ハジュンの想定を超えた原因不明の怪奇現象が続発。

やがて悪魔の迷宮と化した病院内を泣き叫んで逃げ惑うはめになった隊員たちは、世にもおぞましい”402号室の呪い”の真実に触れることに…。

*1

監督

チョン・ボムシク

出演

パク・ジヒョン/ムン・イェウォン/ユ・ジュユン/ウィ・ハジュン/オ・アヨン/パク・ソンフン/イ・スンウク ほか

 

疑問点・考察

ピンポン玉

冒頭から繰り返し触れられたピンポン玉の音が聞こえるという設定ですが、院長が嗜んでいたという程度であまりキーにはなってこなかったのが残念です。

ソンウクのコメント力

様々な怪奇現象に見舞われても常に冷静なコメントをしていたスンウクが序盤から違和感満載でしたが、中盤で彼らが病院に仕込みをしていたからだということが明かされます。彼らの想定外の怪奇現象が起き始めてからが本番でしたね。とはいえ、儀式で部屋に張り巡らせた糸と鈴が暴れ出しても撮影をやめようと言い出さない女性陣は流石ですね。

402号室の人影

ハジュンがドローンを飛ばして見た402号室の窓には何かが動くのが映りますが、よくわかりません。その後402号室に踏み入ったハジュンが、窓の外に自分の姿を見ることから、あの時自分が襲われる様子を見ていたのだとわかります。ジヒョンとシャーロットがテントにたどり着けなかったことからも、病院のみならず周辺までもが異常だったので、ハジュンも彼女らと同様に同じ場所をループしていたのかもしれません。

配信されていない生放送

ラストシーン、テントでは放送時間を過ぎても何も始まらないホラータイムズの配信画面と、それを揶揄する視聴者のコメントが映ります。視聴者数はたった500人、ハジュンが見ていた100万人を集めた配信画面は何だったのでしょうか。彼らが配信準備を始めた時点で既に現実世界からは切り離されてしまっていたのかもしれません。時折PCに映し出される文字化けも、この世ではないことを示しているようです。

 

”心霊スポットに動画を回して乗り込む”という使い古された展開ですが、POV視点が恐怖を煽る質の高いホラーでした。寒気を感じたい夜にぜひ。

コンジアム(字幕版)

コンジアム(字幕版)

  • ウィ・ハジュン
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【バレたら終わり】【小さな異変は島中へ波及する】映画『ノイズ』疑問点と考察

 

2022年1月28日に公開された映画『ノイズを視聴したので、疑問点と考察をまとめていきます。

ノイズ

筒井哲也さんの漫画『ノイズ【noise】』を原作とした実写映画で、監督は廣木隆一さん、主演は藤原竜也さんと松山ケンイチさんです。原作は2020年までヤングジャンプで連載されていましたが、全3巻で完結しているので、ぜひ読んでみてください。映画

※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含むため、視聴後の閲覧を強くオススメします。

作品紹介

ストーリー(公式HPより)

絶海の孤島に突如現れた不気味な男。誰も名を知らないその男に家族を狙われた泉圭太(藤原竜也)は、親友の田辺純(松山ケンイチ)、新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)と共に、誤ってその男を殺してしまう。それは、圭太が生産した”黒イチジク”が人気となり、国からの交付金5億円が内定、過疎に苦しむ島に明るい未来が見えた矢先のことだった--。

島の未来と大切な家族を守るため、3人は死体を隠蔽することを決意する。「この男が消えたところで、だれも追ってこない」そう思っていた矢先、予想外の事態に発展する。なんと、その男は出所したばかりの凶悪犯渡辺大知)で、足取りを追う刑事(永瀬正敏)らが島に大挙して押し寄せてきたのだ!24時間体制で執拗な捜査を繰り返す県警。その包囲網が圭太たちを追い詰める…<島の生活を守る為に死体を隠す者>と<正義の為に島の生活を踏みにじる者>との攻防が島民たちにも広がっていき、島の日常は崩れ落ち、少しずつ狂っていく差出人不明の不気味なメール、次々と増えていく死体、壊れていく絆…誰が味方で敵なのかもわからない極限状態の中で、”ある人物”がとんでもない罠を仕掛けていた…*1

監督

廣木隆一

出演

藤原 竜也/松山 ケンイチ/神木 隆之介/黒木 華/伊藤 歩/渡辺 大知/酒向 芳/追田 孝也/鶴田 真由/波岡 一喜/菜葉菜/寺島 進/余 貴美子/柄本 明/永瀬 正敏 ほか

 

疑問点・考察

小御坂は恵里奈に何をした?

恵里奈を連れ去り、奪った自転車の上で卑猥な動画を見ていた小御坂。状況や彼の前科を考えると暴行をはたらいたと考えられるが、恵里奈は元気そうな様子で別の場所で見つかっている。

町長と庄吉

突然倉庫に現れた町長に続いて、庄吉が飛び込んでくるのがB級ホラーのような展開を思わせる。庄吉は圭太に島を守れと言い残していることから、町長の暴走を止めようとしたのだと考えられるが、町長は庄吉のタレコミを聞いて倉庫に来たのではないのか?それにしても揉み合いの様子がコミカルすぎる…

ノイズ

この島にとって異物である小御坂はノイズであると言える。しかし、県警もまたノイズであると言えそうだ。畠山が何度も苛立ちを見せた島の団結感だが、それを乱すものとして、県警は非常に象徴的だった。本当に検視しましたかと初対面の医師に懐疑的な姿勢を見せる、純の倉庫内に何度も勝手に立ち入る、島民に文句を言われても無視して帰る、島民の携帯電話を奪い取り叩き割るなど傍若無人な行動が散見された。島ではマイノリティとして悪役のような立ち回りになっていたが、加奈が懸念を示していたような閉鎖的な島の異常な団結感が浮き彫りになるような構図だった。

真一郎の決断

岡崎に教わった警察官の正義を全うにするために、自分が罪を被って自殺することでかさぶたとなることを決めた真一郎。この決断もまた、島のために自分を犠牲にする島民性の表れだろう。一方で友達を守るため、嘘をつき続ける辛さから自分を守るためという見方もできる。真一郎は真面目過ぎた。

イチジクの下に埋めよう

純の提案。圭太の土地から死体が見つかるというのは、圭太が犯人である証拠として非常に有力である。最もらしい理由を並べていたが、これ以上の理由があるだろうか。

恵里奈の絵日記

「朝起きたら、ひまわりが咲いていたので、みんなで遊園地に遊びに行きました。とっても暑かったので、アイスクリームを食べました。とっても美味しかったです。」という内容。アイスクリームを食べた以降の絵は描かれていないが、遊園地には純と4人で行っているようである。

そもそも、猪狩島には遊園地など存在しないのではないだろうか。この島に恩返しするために執着する圭太だったが、恵里奈は外の世界で遊園地に行って遊びたかったのではないか。加奈の感じていた島への不気味さは恵里奈も感じていたのかもしれない。

恵里奈は小御坂に襲われる前も庭で1人きりで遊んでいた。作中に同年代の子どもは登場しない。2人を島に縛り付け、人を殺してまで圭太が守りたかったものはなんだったのか。恵里奈の日記を見て涙が出てしまったのも無理はない。きっと圭太は純の裏切りに気づいた上で彼を信じてほしいと言ったのだろう。

最期の銃声

純は森でライフルを構え何かを撃ち抜く。その音は聞こえるはずのない、圭太のいる刑務所まで聞こえる。純にとっての害獣は、愛する加奈を縛り付ける圭太だったのかもしれない。

 

娘を、友達を、そして島を守るためにそれぞれができることをした結果、こんなにも悲しいことになってしまうのは胸が苦しいですね。最近見たサスペンスの中では断トツで面白かったです。ぜひご覧ください。

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【老人が罵られ、大変な目にあう】【半世紀も封印されていた問題作】映画『アミューズメント・パーク』疑問点と考察

 

2021年10月15日に日本で公開された映画『アミューズメント・パーク(字幕版)Amazon Primeで配信開始になったので、疑問点と考察をまとめていきます。

アミューズメント・パーク(字幕版)

監督はジョージ・A・ロメロさん、主演はリンカーン・マーゼルさんです。

1973年に年齢差別や高齢者虐待を題材とした教育映画(ジャンルはサイコスリラーですが…)として製作されましたが、そのあまりに過激な内容から半世紀近くお蔵入りされており、2017年にフィルムが再発見されたことを機に、2019年にようやく公開されたという曰くつきの作品です。

X(旧Twitter)の映画紹介インフルエンサーであるDIZさんがポストしたことでも話題になっていました。

https://x.com/DIZfilms/status/1743940654210912336?s=20

 

※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含むため、視聴後の閲覧を強くオススメします。

作品紹介

ストーリー

遊園地で老人が罵られ、大変な目にあう。

※本当に作品紹介にこれしか書いてないんです…!

監督

ジョージ・アンドリュー・ロメロ

出演

リンカーン・マーゼル/ハリー・アルバッカー/フィリス・カスターワイラー/ピート・チョーヴァン/サリー・アーウィン/ジャック・ゴットロブ/ハレム・ジョゼフ/ボブ・コップラー/マリオン・クック/マイケル・ゴルニック

 

疑問点・考察

死神

汽車の後ろの席に死神が乗っていた。降車後に棺桶のような木箱が用意されていたのは死神の存在が関係しているのか。

暴走族に襲われる前に死神が園内を歩いている。危険な目に遭う予兆のようなものなのだろうか。

汽車

若者たちが家族に迎えられる中、老人には木箱が用意されていた。あの世への”お迎え”という皮肉なのだろうか。

レストラン

食事を食べることができず見ていた人たちは貧しさに苦しむ人を表していると思われる。彼らに手を差し伸べた主人公が食事を全て奪われてしまったことからも、善行が必ずしも報われるわけではない現実を謳っている。そうした世界の厳しさは、誰からも助けてもらうことのできない老人として、何度も強調されている。

子どもたち

作中では子ども達は主人公に対して敵対心を抱いていない。しかし、親は主人公を不審者扱いして遠ざけようとしている。そうした教育の積み重ねが、拭えない階級・年齢差別を生んでいるのかもしれない。

カップ

占いの館を出た男に突如殴られた主人公。彼にとっては主人公が入ってきたことで不都合な未来を見せられたとでも言うのかもしれないが、主人公には関係がない。利害関係にない場合にも槍玉にあげられるにはいつの時代も弱者の常なのかもしれない。

スリ

スリに気を付けるよう話しかけてきた男もまたスリであった。優しく手を差し伸べる人のいない世界で、善意に擬態した悪意を描くのも、現実に則しすぎていて胸が苦しくなる。

教会

助けを求めたどり着いた教会も主人公の目の前で閉まってしまう。この世界では救いの手は誰からも差し伸べられない。

白い部屋

外の世界を知る前の主人公は、この高齢者問題を知る前の私なのかもしれない。そして映画を見終わった後の私は疲れ果てた主人公であり、現実世界の私でもある。現実を訴えても外の世界に行くことを止めることのできないロメロ監督の感じてきた無力さが、視聴後にはひしひしと感じられる。

 

現代でも問題になっている階級・年齢差別を、半世紀近くも前にここまでリアルに描いている衝撃の作品。いつか皆、老人になることを忘れてはいけないというメッセージを正面から受け止めるためにも、ぜひ精神が安定しているときに見ていただきたい。

 

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メートル

省略形: 中

【VRと呪いの融合~現代版貞子~】映画『忌怪島/きかいじま』疑問点と考察

 

2023年6月16日に公開された映画『忌怪島/きかいじまを視聴したので、疑問点と考察をまとめていきます。

忌怪島/きかいじま

 

監督は呪怨』シリーズや『犬鳴村』を手掛けた清水崇さん、主演はなにわ男子の西畑大吾さんと期待できる製作・役者陣です。

物語後半に明かされる、目を背けたくなるほどのおぞましい展開が高く評価され、第19回ポルト・アレグレ国際ファンタスティック映画祭の最優秀悪役賞も受賞しています。

映画の脚本を基にした書き下ろし小説も刊行されるほどの人気なので、気になる方は是非読んでみてください。

 

 

※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含むため、視聴後の閲覧を強くオススメします。

作品紹介(公式HPより)

ストーリー

未だシャーマンが棲む島

その島でVR研究をおこなう片岡友彦とチーム「シンセカイ」

突然のシステムエラー、突如出現する赤いバグ

シャーマンは語る、「それは”イマジョ”じゃ…」

交わり始める異世界と現実世界

瞬く間に島を覆う怪奇と死ー。

”イマジョ”との関係は?

彼らは謎を解き明かし、生きて島を脱出することができるのか…!

*1

監督

清水 崇

出演

西畑 大吾(なにわ男子)/平岡 祐太/水石 亜飛夢/川添 野愛/大場 泰正/祷 キララ/吉田 妙子/大谷 凛香/笹野 高史/當間 あみ/なだぎ 武/伊藤 歩/山本 美月 ほか

 

疑問点・考察

バスを降りる鎖の音

役場からの帰り道、誰もいない停留所へ鎖を引く足音がバスを降りていくが運転手は意にも介さない。この島に蔓延るイマジョは日常にまで溶け込んでいるのか。その直後にバスが故障して友彦と環がトキの家に行くことになったのは偶然なのだろうか。

誰ともすれ違わない

トキの家から帰る道すがら、友彦と環は誰ともすれ違わなかった。まるで仮想空間のような世界は、2人が現実世界に帰ってこれなくなった後の世界を暗示しているようである。

落ちてくる鶴

山本が鳥居でタバコを吸っている際に落ちてきた鶴はどこから来たのか。また、シゲルが撒いた鶴が、友彦のいる研究室内に落ちてきていることから、鶴は物理的なものではなくイマジョがやってくる気配のようなものを表しているのだろうか。

逃げ出すヤドカリ

シゲルの家でパックから逃げ出すヤドカリ。あの世から現世へと逃げ出したイマジョか。あるいは、人間と関わらない世界を目指していた友彦が事件を通じて人間の情に触れて狭い世界から解き離れつつあるというメタファーか。

シゲルの母親

ある日から見かけなくなったとされるシゲルの母親。ということは隠し部屋にいたのは彼女か。死後すらも島民に蔑まれ、辱められる恐れがあるほどの状況であったことの表れか。それとも母親を楽にしてあげるために手をかけたのは、シゲル自身なのか。

エンディング

誰も乗っていない船、友彦と環の手首に現れる番号は、2人がまだ仮想空間にいることを示している。友彦の手を引いて助けたはずなのになぜ?仮想空間には忌怪島しかコピーされていないため、永遠に本土に帰り着くことはできない。

船には鎖の音が鳴り響き、リンの目の前には切り倒したはずの鳥居が聳え立つ。イマジョの呪いは断ち切ることができぬほど大きなものなのかもしれない。

海へと沈んでいったリンはイマジョ憑きとなってしまったのか、シゲルを追い詰めた島の歴史に絶望したのか。

 

描かれていないその後のことを考えると、背筋が凍るような結末でした。

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