【老人が罵られ、大変な目にあう】【半世紀も封印されていた問題作】映画『アミューズメント・パーク』疑問点と考察

 

2021年10月15日に日本で公開された映画『アミューズメント・パーク(字幕版)Amazon Primeで配信開始になったので、疑問点と考察をまとめていきます。

アミューズメント・パーク(字幕版)

監督はジョージ・A・ロメロさん、主演はリンカーン・マーゼルさんです。

1973年に年齢差別や高齢者虐待を題材とした教育映画(ジャンルはサイコスリラーですが…)として製作されましたが、そのあまりに過激な内容から半世紀近くお蔵入りされており、2017年にフィルムが再発見されたことを機に、2019年にようやく公開されたという曰くつきの作品です。

X(旧Twitter)の映画紹介インフルエンサーであるDIZさんがポストしたことでも話題になっていました。

https://x.com/DIZfilms/status/1743940654210912336?s=20

 

※本記事は作品の結末に関わる重大なネタバレを含むため、視聴後の閲覧を強くオススメします。

作品紹介

ストーリー

遊園地で老人が罵られ、大変な目にあう。

※本当に作品紹介にこれしか書いてないんです…!

監督

ジョージ・アンドリュー・ロメロ

出演

リンカーン・マーゼル/ハリー・アルバッカー/フィリス・カスターワイラー/ピート・チョーヴァン/サリー・アーウィン/ジャック・ゴットロブ/ハレム・ジョゼフ/ボブ・コップラー/マリオン・クック/マイケル・ゴルニック

 

疑問点・考察

死神

汽車の後ろの席に死神が乗っていた。降車後に棺桶のような木箱が用意されていたのは死神の存在が関係しているのか。

暴走族に襲われる前に死神が園内を歩いている。危険な目に遭う予兆のようなものなのだろうか。

汽車

若者たちが家族に迎えられる中、老人には木箱が用意されていた。あの世への”お迎え”という皮肉なのだろうか。

レストラン

食事を食べることができず見ていた人たちは貧しさに苦しむ人を表していると思われる。彼らに手を差し伸べた主人公が食事を全て奪われてしまったことからも、善行が必ずしも報われるわけではない現実を謳っている。そうした世界の厳しさは、誰からも助けてもらうことのできない老人として、何度も強調されている。

子どもたち

作中では子ども達は主人公に対して敵対心を抱いていない。しかし、親は主人公を不審者扱いして遠ざけようとしている。そうした教育の積み重ねが、拭えない階級・年齢差別を生んでいるのかもしれない。

カップ

占いの館を出た男に突如殴られた主人公。彼にとっては主人公が入ってきたことで不都合な未来を見せられたとでも言うのかもしれないが、主人公には関係がない。利害関係にない場合にも槍玉にあげられるにはいつの時代も弱者の常なのかもしれない。

スリ

スリに気を付けるよう話しかけてきた男もまたスリであった。優しく手を差し伸べる人のいない世界で、善意に擬態した悪意を描くのも、現実に則しすぎていて胸が苦しくなる。

教会

助けを求めたどり着いた教会も主人公の目の前で閉まってしまう。この世界では救いの手は誰からも差し伸べられない。

白い部屋

外の世界を知る前の主人公は、この高齢者問題を知る前の私なのかもしれない。そして映画を見終わった後の私は疲れ果てた主人公であり、現実世界の私でもある。現実を訴えても外の世界に行くことを止めることのできないロメロ監督の感じてきた無力さが、視聴後にはひしひしと感じられる。

 

現代でも問題になっている階級・年齢差別を、半世紀近くも前にここまでリアルに描いている衝撃の作品。いつか皆、老人になることを忘れてはいけないというメッセージを正面から受け止めるためにも、ぜひ精神が安定しているときに見ていただきたい。

 

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省略形: 中